■ 海苔の生産についての基本知識

海苔の主な生産地域

海苔の養殖は江戸時代前期の品川あたりを起源としますが、今は瀬戸内海と有明海が2大産地で全体の85%程度を占めています。東日本では松島湾を持つ宮城県、三河湾、伊勢湾の愛知県、三重県、そして発祥の東京湾では現在千葉が主要産地となります。






海苔の入札制度(板海苔)

生産者から流通への第一歩は11月末〜4月末に各産地の県漁連で10回程度行われる入札会です。
生産者から漁協に集めらた板海苔はそれぞれ品質検査を受け、等級付されたものが漁連の入札会に出品されます。
入札権をもった弊社のような海苔指定商社が入札会に参加し、各漁協、各等級ごと細かく分けられたロット毎に値段をつけて入札を行い買い付けるのです。

二大養殖法 支柱式と浮き流し

海苔の養殖法には「支柱式漁法」と「浮き流し漁法」があり、それぞれ各漁場環境に合わせて使い分けています。

・支柱式漁法とは
「海苔そだ」や「海苔ひび」と言った竹木を束ねたものを浅瀬に立て、柵を作りそこに生えてくる海苔を摘むといった昔からある養殖法を受け継いだものです。今では金属パイプなどを立てパイプ間に海苔網を張り、そこで海苔を養殖します。

支柱式漁場は海の干満の影響を受け、干潮時には空気中にさらされます。それは病原菌や珪藻といった付着物に効果があり、また葉内の塩分濃度が濃くなることへの反応として葉内の糖類やアミノ酸を増やすため、結果美味しくなるとも言われています。また河川の流入が近いことは豊富な栄養塩の供給を受けることができ、海流も緩やかなので葉質が柔らかい海苔になります。
これらの要素で、旨味の強く柔らかな美味しい海苔が出来ます。

コンビニでお馴染みの巻いて直ぐのパッりっとした食感と風味を楽しむ手巻おにぎりや、飯具と合せ直ぐに食べる手巻寿司などに向いています。
主に有明地区で主に採用されています。


・浮き流し式漁法とは
沖合に海苔網を張り、そこで海苔を養殖する漁法です。
1960年代頃から各地で採用されるようになり、生産枚数は飛躍的に伸びました。浮き流し式では支柱式と違い漁場を選ばないことで生産地と生産量が拡大しました。

浮き流し式の海苔は常に海面下にあります。この場合、日光の影響は青色色素を多く生成する方に働くので、黒い海苔ができます。沖合は塩分濃度が濃く、潮流もあるため葉質はしっかりとした物になります。このおかげで調理して水に触れ時間が立っても色が悪くならず、直巻きタイプのおにぎりや、巻いてから食べるまで時間差がある巻寿司、スープに浸かっても形が崩れにくいのでラーメン用途などに向いています。
瀬戸内地区で採用されています。



海苔の生育に大切な3つの要素

①水温
海苔は春夏秋冬で全く違うライフサイクルを持ちますが、海苔が四季を感じるのはもちろん水温です。秋口に海苔網が張られる際の水温は海苔の芽(ノリ芽)の成長に最適な23度前後に落ちた頃。冬につれだんだん水温が下がり15度を下回るころには生産も安定期入っていきます。
近年猛暑の影響で水温がなかなか下がらず、品質や生産量の悪化の一因となっていると言われています。

②比重(塩分濃度)
海苔は海水の塩分濃度すなわち比重が大変重要です。以前養殖されていたようなアサクサノリ種は河口に近いところにに生息していたため、低い塩分濃度への耐性がありましたが、現在主流のスサビノリ種は塩分濃度が低いと色が悪くなったり、病気にかかったりしてしまいます。。海水の入替りの少ない内湾などでは降雨による比重の変動も大きく、その計測は非常に大切なポイントになります。

③栄養塩
海苔も植物であり、窒素、リン、カリウムの3大栄養素が生育に大きく関わっています。
栄養塩が少ないと色落ちの原因となります。カリウムはもともと海水に溶け込んでいるため欠乏することはありませんが、窒素とリンは主に河川から供給されます。河川の源は山。良い漁場を育てるには山を育てることが大事と言われますが、海苔も例外なく当てはまるのです。

海苔の生産量の推移

過去5年間の生産量の推移
※海苔業界では収穫が始まった時点をその「年度」とするため、平成23年(2011年から平成24年(2012年)に収穫された海苔は平成23年度又は2011年度の海苔となります。

平成23年(2011) 77億7千万枚 (今年度)
平成22年(2010) 85億5千万枚
平成21年(2009) 80億2千万枚
平成20年(2008) 90億8千万枚
平成19年(2007) 86億2千万枚

平成13年の106億8千万枚を最後に生産量は100億枚を下回っています。



海外における板海苔の生産

日本以外の産地は主に中国と韓国で、中国では約40億枚以上、韓国に至っては日本を上回る120億枚以上生産されているそうです。
国内産業保護のため、割り当て制度により輸入制限されていますが味付加工品などを含めると10億枚以上の海苔が国内に入ってきています。



海苔の国内需要

海苔の国内消費量は残念ながら減少傾向にあります。
食生活の多様化に伴い、海苔とは切り離せないお米の消費が年々減少している中、足並みを揃えるよう落ち込んでおり、100億枚と言われた消費量も現在では85億枚前後の消費となっています。
内訳では3割が家庭用、残りの7割が業務用として消費されています。